【この記事で分かること】
- 結論: 店長の次のキャリアは、エリアマネージャーだけではない。現場経験こそが本部職への最強のパスポートである。
- 得られるもの: 未経験から狙える具体的な本部職5選の仕事内容・年収・そしてあなたの店長経験がどう活きるかの「翻訳術」。
- ゴール: 自分の興味と強みに合った、現実的なキャリアプランを描けるようになる。
序章:「本部の人たちは、現場を知らない」——その不満こそ、あなたの市場価値だ
- 「本部から送られてくる指示は、いつも現場の実態とズレている…」
- 「この新商品、うちの店の客層には絶対に合わないのに…」
- 「もっと現場の意見を聞いてくれれば、売上は上がるはずなのに…」
店長として、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。
しかし、その不満や違和感こそが、あなたが本部職で活躍できる最強の根拠なのです。なぜなら、今の本部に最も欠けている「リアルな現場感」を、あなたは誰よりも持っているからです。
これまであなたは、本部が決めた戦略を「実行する側」でした。しかし、その豊富な現場経験は、あなたを戦略を「創る側」へと引き上げてくれる、最高のパスポートになります。
この記事では、あなたが「される側」だった本部機能を「する側」へと転身するための、具体的なキャリアパスを5つの職種に分けて、図鑑のように詳しく解説します。
向き・不向き診断(5問・合計点で判断)
まず、あなたがどちらのタイプの仕事に向いているか、簡単な診断をしてみましょう。
(A=0点、B=1点で合計点を計算)
A:数字・データを分析し仮説検証する
B:人と会い、話を聞き、コーチングする
A:オフィス・在宅でPCに集中
B:複数現場を巡回して動き回る
A:企画・分析で全体数字が動くとやりがい
B:目の前の店舗や人の課題解決にやりがい
A:文章・企画書など論理的伝達
B:対面交渉・プレゼンテーション
A:汎用的な専門性・分析スキル
B:組織内での影響力・リーダーシップ
→ 合計点が1点以下なら「企画/分析寄り」(MD/人事/マーケ)、2点以上なら「現場/対人寄り」(SV/店舗開発)の傾向があります。2〜3点の人は「人事教育・FC本部・販促企画」のような橋渡し職種が狙い目です。
【比較表】店長経験が活きる本部職5選
職種 | 主なKPI例 | 初期ハードル | 30日ミニ実績 | 年収相場 |
---|---|---|---|---|
店舗支援/SV | 人時売上, FLコスト(食材費+人件費), 離職率 | 複数店舗の数値比較 | 3店舗のKPI比較→改善提案1枚 | 450〜650万 |
商品開発/MD | 商品原価率, 粗利率, 回転率 | マーケティング基礎 | ミニテスト販売→1枚サマリ | 450〜700万 |
人事(採用/教育) | 3ヶ月離職率, 採用単価 | 労働法規基礎 | オンボーディング手順書 | 500〜750万 |
店舗開発 | 坪売上, ROI(投資回収) | 不動産/法規 | 商圏スケッチ+損益分岐試算 | 500〜800万 |
マーケ/販促 | CTR(クリック率), CVR(成約率), 来店コンバージョン | Webマーケ基礎 | 販促A/Bテスト→効果測定 | 450〜750万 |
※2025年10月時点の目安(首都圏×正社員×公開求人)。企業規模・直営比率・利益率・インセン設計で±100万円程度の差が出ます。
【本部職キャリア図鑑】5つのキャリアパス詳細
1. 店舗支援/SV(スーパーバイザー)
一言でいうと: 複数店舗を巡回し、店長の相談役となり、エリア全体の売上を最大化する「現場寄り」の仕事。
店長経験がどう活きるか: 店長の悩みを理解し、的確なアドバイスができる。信頼を得やすい。
30日で作るミニ実績: 担当3店舗の人時生産性・FLコスト・廃棄率を横並びで比較し、共通改善施策を提案書1枚にまとめる。
面接での一言: 「人時売上+5%の施策を3店舗で検証。共通因子はピーク時間帯の人員再配置でした。」
本部職への王道ルート(再現性)
本部職を目指す道は、大きく分けて 「社内異動」 と 「社外転職」 の2パターンがあります。どちらも一朝一夕では実現できませんが、共通して大切なのは、「実物(ミニ実績)」+「再現性の説明」 です。この2つが揃えば、現場出身でも本部に行ける道は、確実に開けます。
① 社内異動ルート
店長 → 本部アシスタント → 本配属
(平均:1〜2回の考課を経て本部配属)
- メリット:会社の文化やシステムを理解しているため、適応コストが低く、本部職にスムーズに入れる可能性が高い。
- つまずきポイント:上長の合意が得られず、異動希望が“棚上げ”になるケースが非常に多い。
👉 対策として、以下の2点を意識しましょう。
- 社内公募の要件(KPI・必要スキル・書類フォーマット)を早めに確認しておく
- 「30日で作るミニ実績」を用意し、異動希望を出すときに“具体的な成果物”で説得する
例:「3店舗の人時生産性・FLコストの比較分析+改善提案書」を1枚にまとめて上長に提出 → 本部人事に回されるケースが増える
② 社外転職ルート
店長 → 本部職(SV / 人事 / MD / マーケ / 開発 など)
- メリット:会社の制約を超えて、希望する職種・待遇を選びやすい。
- つまずきポイント:職務経歴書が“店長用語”のままで、本部職の面接官に伝わらないケースが多い。
👉 対策としては以下の2つが鉄則です。
- KPI翻訳:売上・FL・シフト管理などの成果を、本部が評価するKPI(例:人時生産性、粗利率、NRR、坪効率 など)で書き直す
- 再現性の説明:「なぜできたか」「他の店舗・環境でも再現できるか」を面接でロジカルに説明する
例:「廃棄ロスを5%→2%改善した」は、「原価率を▲3pt改善。要因分析→発注標準化→全店舗展開で再現可能」と翻訳すると強い。
このように、「社内異動」は根回し+実績で突破、社外転職は翻訳+再現性で突破が基本戦略です。
いずれのルートでも、「ミニ実績」を早めに作っておくことが、最短距離で本部職に行くための共通のカギになります。
転職サービス比較:本部職への転身をサポートしてくれる3社
店長から本部職への転職を成功させるには、情報収集・求人比較・戦略相談をそれぞれの強みを活かして行うのが近道です。以下は、未経験から本部職を目指す方におすすめの3社の比較表です。
サービス名 | 強み・特徴 | 向いている人 | 登録リンク |
---|---|---|---|
リクルートエージェント | 本部職(SV/人事/MD/マーケ)の非公開求人が豊富 面接想定質問や模擬面接のサポートが手厚い 「再現性/言語化/カルチャーフィット」で採点してくれる | 戦略的に転職活動を進めたい人/模擬面接で仕上げたい人 | 無料面談を予約する |
リクナビNEXT | 「グッドポイント診断」で強みを無料で可視化 転職初期に自己分析を深めるのに最適 スカウトメールで思わぬ企業から声がかかることも | まずは自分の適性や強みを言語化したい人 | 無料で「グッドポイント診断」してみる |
DODA | 求人検索が非常に使いやすく、業界横断的に比較できる 本部職(SV/MD/人事など)の未経験OK求人も多い 応募企業の「過去面接質問」データが見られる | まずは幅広く求人を比較・チェックしたい人 | 求人を検索する(無料) |
よくある質問(FAQ)
まとめ:次の扉を開ける“実物”を作ろう
「本部は現場を知らない」——だからこそ、現場を誰よりも知るあなたが、本部を変える側に回るチャンスがあります。
店長のキャリアは、エリアマネージャーだけにとどまりません。SV、商品開発、人事、店舗開発、マーケティング…あなたの経験を活かせる舞台は、実は5つ以上も広がっています。
しかし、その扉は 「待っているだけ」では決して開きません。
本部職への第一歩は、特別な資格や肩書きではなく、“実物(=ミニ実績)”です。
- 3店舗のKPI比較を1枚にまとめる
- 新商品のテスト販売データを整理する
- オンボーディング手順書を作る
- 商圏スケッチと損益分岐を試算する
- SNS販促のA/Bテスト結果をレポート化する
こうした 1枚の成果物が「経験を翻訳し、再現性を証明する」最強の武器になります。
面接でも、社内異動でも、「この人は現場の成果を構造的に再現できる」と判断される決め手になるのです。
👉 まずは、この記事を読み終えた今この瞬間から、最も興味のある職種をひとつ選び、「30日で作るミニ実績」に着手してみましょう。
あなたのキャリアの主導権は、あなた自身が握っています。
その“1枚”が、あなたの未来の扉を確実に開いてくれます。

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