準備は終わり。あとは本番で差をつける3つ――
第1章:逆質問 ―「聞く」ふりして「強み」を伝える
「何か質問は?」の時間を使い、自分の「現場力」や「人間力」をさりげなくアピールする。
【この章で面接官が見る軸】
(一次面接を想定)「この人は現場の課題を数字で把握し、解決できるか?」を見ています。
面接の最後、「何か質問はありますか?」と聞かれたらチャンスです。「特にありません」は、一番もったいない回答です。
ここで難しい質問をする必要は一切ありません。あなたが店長として大切にしてきた「現場の視点」を質問に込めるだけで、面接官は「お、この人は現場を知っているな」と感じてくれます。
1. やってはいけない「もったいない」質問
- 調べればわかる質問:「お店は何店舗ありますか?」(→ 興味がないと思われる)
- ネガティブな質問:「残業は多いですか?」「辞める人は?」(→ 面接官が構えてしまう)
- 漠然とした質問:「職場の雰囲気は?」(→ 答えにくく、アピールにならない)
2. あなたの「強み」が伝わる「OK質問」3パターン
難しい言葉は不要です。「自分ならこう動ける」という意欲を、質問に乗せましょう。
パターン①:「現場の課題」に寄り添う(現場改善力をアピール)
【なぜ響くか】「机上の空論」ではなく、「現場のオペレーション」にすぐ目が行き、それを数値で改善した実績まで示せるのは、店長経験者ならではの視点です。
【例文:現場改善力】
「私は店長として、スタッフの声を聞き、現場の非効率を改善することに力を入れてきました。例えば、前職ではピーク帯の待ち時間を『7分→4分』(4週間、追加コスト0円)に短縮した経験があります。〇〇様(面接官)が、今、現場の業務で『ここが一番大変』あるいは『この数字を改善したい』と感じていらっしゃる工程はどこでしょうか?」
【想定追問と返し】
想定追問:「その待ち時間短縮は、具体的にどうやったんですか?」
返し:「はい。原因は人手不足でなく、ドリンク作成の配置がバラバラだったことでした。そこでスタッフの意見を聞き、使用頻度の高い順に並べ替え、動線を短くしました。入社後も同じ手順で課題を見つけて検証します。」
パターン②:「人」に注目する(人間力・育成力をアピール)
【なぜ響くか】どんな仕事も「人」が基本です。「チームの士気」や「スタッフの定着」という、店長が一番苦労する部分に注目し、それを数値(離職率など)で語れるのは、あなたの強みです。
【例文:人間力・育成力】
「前職では特に新人の定着率に悩み、一人ひとりと面談の時間を設けて声を聞くことで、新人の離職率を半年で30%改善した経験があります。御社の店舗(あるいはチーム)では、現在スタッフの皆様のモチベーションや育成において、どのような点を一番大切にされていますか?」
パターン③:「自分が動く」姿勢を見せる(率先垂範をアピール)
【なぜ響くか】「教えてください」という受け身ではなく、「自分が汗をかく」という主体的な姿勢が伝わります。口先だけでなく行動できる人は、どの会社でも高く評価されます。
【例文:率先垂範】
「私は『まず自分が一番動く』ことで、チームをまとめてきました。もしご縁をいただけた場合、現場の皆さんが今一番困っていて、売上に直結する業務(例えば、最も忙しいピーク帯のサポートなど)は具体的にありますでしょうか? まずはそこから自分が動きたいです。」
【実戦カード①:逆質問】
- (現場改善)「今いちばん大変な工程はどこでしょうか。前職ではピーク帯の待ち時間を『7分→4分』(4週間、追加コスト0円)に短縮しました。入社後も同じ手順で検証します。」
- (人間力)「スタッフの育成で一番大切にされていることは何ですか? 私は新人の離職率を半年で30%改善した経験があります。」
- (率先垂範)「今、現場で一番人手が足りず困っている業務は何ですか? まずはそこから自分が動きたいです。」
【本章の読後行動(CTA)】
上の3つの例文から「一番自分らしい」と思うものを1つ選び、スマホのメモ帳に保存。音読30秒×3回で練習する。
第2章:自己PR ―「STARメソッド」を自分の言葉で語る
「あなたの強みは?」に対し、すごい話ではなく「具体的なエピソード」で答える型を身につける。
【この章で面接官が見る軸】
「過去の行動に再現性はあるか?」「“なんとなく”ではなく数字で語れるか?」を見ています。
「あなたの強みは?」と聞かれた時、「責任感です」と一言で答えるのは一番損です。面接官が知りたいのは「その強みで、実際に何を乗り越えたのか」という「具体的な話(エピソード)」です。
難しく考える必要はありません。「STAR(スター)メソッド」という型にあてはめれば、誰でも伝わる話ができます。
- S (Situation): どんな状況で(ピンチな状況)
- T (Task): どんな課題があり(やるべきこと)
- A (Action): あなたがどう行動し(※ここが一番大事)
- R (Result): 結果どうなったか(学んだこと)
具体的で「人柄」と「数字」が見えるSTARの例
「私の強みは、現場の非効率を特定し、チームを巻き込んで解決する力です。」
- S(状況):ランチピークで提供遅延が常態化。お客様の待ち時間は平均7分、提供遅れによるクレームが月10件発生していました。
- T(課題):これを「待ち時間5分以下」「クレーム半減」を目標に、「追加コスト0円」「期間4週間」で改善する必要がありました。
- A(行動):原因は人手不足でなく工程の非効率と特定。①ドリンク配置の動線変更、②仕込み時刻を15分繰上げ、③ピーク帯は店長(私)がレジを離脱しドリンク専任になる、④毎日10分の日次振返りを実施、という4点を徹底しました。
- R(結果):結果、待ち時間は7分→4分に短縮、クレームは月10件→3件に減少。再来店率も+6pt改善し、原価変動はありませんでした。この経験から、原因は人手でなく工程順にあることを見抜く大切さを学びました。
【なぜ響くか】
「誠心誠意」といった抽象的な言葉でなく、「店長がレジを離脱」という具体的な行動(A)と、「7分→4分」という明確な数字(R)が、あなたの実行力を証明するからです。
【STARのコツ】
- 目安時間:全部で60~90秒(S10秒 / T10秒 / A40秒 / R30秒)がベスト。
- 数字の4点:〈①前→後、②期間、③母数(全体)、④制約〉を意識して盛り込む。「クレームが月10件→3件に(①)、4週間で(②)、追加コスト0円で(④)達成」
【実戦カード②:STAR圧縮】
- S(状況):[例:ランチピークで提供遅延。待ち7分、クレーム月10件。]
- T(課題):[例:待ち5分以下、クレーム半減。制約:追加コスト0、期間4週間。]
- A(行動):[例:動線変更、仕込み繰上げ、ピーク帯は自分がドリンク専任、日次振返り10分。]
- R(結果):[例:待ち7→4分、クレーム10→3件、再来店率+6pt。原因は人手でなく工程と学んだ。]
【本章の読後行動(CTA)】
自分の「一番頑張ったエピソード」を1つ選び、STARにあてはめてスマホのメモに保存。音読30秒×3回で練習する。
第3章:締めの一言 ―「後味」で熱意を押し込む
面接の「終わり際」に、自分の言葉で「熱意」と「覚悟」を伝え、面接官の記憶に爪痕を残す。
【この章で面接官が見る軸】
(最終面接を想定)「内定を出したら本当に入社するか?」「入社後の“初動”が具体的か?」を見ています。
面接官の記憶に一番残るのは「一番盛り上がった所」と「別れ際」です。「本日はありがとうございました」だけで終わるのは、もったいない。
最後に「ダメ押しの一言」を添えるだけで、あなたの「本気度」が伝わります。これは面接の段階(一次か、最終か)で少し内容を変えると効果的です。
パターン①:一次・二次面接の締め(素直さ + 意欲)
【なぜ響くか】面接を「試験」と捉えず、「学びの場」として感謝できる素直な姿勢が好印象を与えます。
【例文:一次・二次の締め】
「本日は貴重なお時間をありがとうございました。〇〇様(面接官)から伺ったお話(例:御社のチームワークの話)が非常に勉強になりました。お話を伺って、ますます貴社で働きたいという気持ちが強くなりました。ぜひ、次のステップに進ませていただけますと幸いです。本日は誠にありがとうございました。」
パターン②:最終面接の締め(覚悟 + 入社後の行動宣言)
【なぜ響くか】面接官の「内定を出して、本当に入社してくれるか?」という最後の不安を、「自分はこう動きます」という具体的な初動計画で吹き飛ばせるからです。
【例文:最終の締め】
「本日はありがとうございました。〇〇様(役員・社長)のお話を伺い、貴社で働きたいという思いが覚悟に変わりました。もしご縁をいただけましたら、入社初月の30日間で、まず①ピーク帯の待ち時間を(現状7分なら)5分へ、②欠員シフトの穴埋め率を100%に戻す、③新人OJT表を週次運用に切り替える、この3点から必ず始めます。本日は誠にありがとうございました。」
【実戦カード③:締めの一言】
- (一次・二次)「ありがとうございました。お話を伺い、ますます働きたい気持ちが強くなりました。ぜひ次もよろしくお願いいたします。」
- (最終)「ありがとうございました。覚悟が決まりました。もしご縁をいただけたら、初月30日で①待ち時間(例:7→5分)、②欠員ゼロ運用、③新人OJT表の週次化、ここから必ず始めます。」
【本章の読後行動(CTA)】
「締めの一言」を一次用・最終用の2パターン、スマホのメモ帳に保存。音読30秒×3回で練習する。
まとめ:面接は「うまく話す場」ではなく「覚悟を伝える場」
最後に、面接官の記憶に残る3つのコツを振り返りましょう。
- 逆質問:現場を知る自分だからこそ聞ける「数値」と「人」に関する質問で、改善力をアピールする。
- 自己PR(STAR):「なんとなく」ではなく「具体的な数字」で、自分がどう動いて乗り越えたかを伝える。
- 締めの一言:最終面接では「初月30日の行動計画」を宣言し、入社への覚悟を示す。
あなたが店長として現場で悩み、汗をかき、数字と格闘してきた経験は、何より強い武器です。「うまく話そう」と気負う必要はありません。あなたの言葉で、あなたの「現場力」と「覚悟」をまっすぐ伝えてください。
面接攻略「実戦カード」サマリー
(スマホのメモ帳に貼り付けて、面接直前に見返してください。)
カード①:逆質問(現場力+数値)
(一番自分らしいものを1つ選ぶ)
- (現場改善)「今いちばん大変な工程はどこでしょうか。前職ではピーク帯の待ち時間を『7分→4分』(4週間、追加コスト0円)に短縮しました。入社後も同じ手順で検証します。」
- (人間力)「スタッフの育成で一番大切にされていることは何ですか? 私は新人の離職率を半年で30%改善した経験があります。」
- (率先垂範)「今、現場で一番人手が足りず困っている業務は何ですか? まずはそこから自分が動きたいです。」
カード②:STARエピソード(60-90秒)
(自分のエピソードをあてはめる)
- S(状況):[例:ランチピークで提供遅延。待ち7分、クレーム月10件。]
- T(課題):[例:待ち5分以下、クレーム半減。制約:追加コスト0、期間4週間。]
- A(行動):[例:動線変更、仕込み繰上げ、ピーク帯は自分がドリンク専任、日次振返り10分。]
- R(結果):[例:待ち7→4分、クレーム10→3件、再来店率+6pt。原因は人手でなく工程と学んだ。]
カード③:締めの一言(覚悟+初動)
- (一次・二次)「ありがとうございました。お話を伺い、ますます働きたい気持ちが強くなりました。ぜひ次もよろしくお願いいたします。」
- (最終)「ありがとうございました。覚悟が決まりました。もしご縁をいただけたら、初月30日で①待ち時間(例:7→5分)、②欠員ゼロ運用、③新人OJT表の週次化、ここから必ず始めます。」


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