家に帰っても、身体からは揚げ油の臭いが取れない。 布団に入っても、2時間後にはアルバイトからの欠勤連絡で叩き起こされる。 手取りは26万円。ボーナスは出たり出なかったり。
「IT企業? ホワイト企業? そんなの、大卒のエリートが行く場所だろ」
本気でそう思っていました。 パソコンなんて、店の売上入力で数字を打つくらいしかできません。
でも、そんな私がいま、都内のIT企業で「カスタマーサクセス」として働いています。 年収は550万円。土日は完全に休み。夜は19時には家でご飯を食べています。
嘘みたいですが、本当です。 私が採用された理由は、ITスキルでも英語力でもありません。 毎日毎日、胃に穴が開く思いでやっていた「クレーム対応」でした。
この記事は、泥沼にいた私が、どうやって「IT業界」という別世界に逃げ込んだのか。そのリアルな記録です。 今の生活が限界なら、どうか読んでください。あなたの「地獄」は、場所を変えれば「武器」になります。
第1章:「IT業界」の正体。俺たちがやるのはプログラミングじゃない
まず、一番の誤解を解かせてください。 「IT業界への転職」と聞くと、黒い画面にコードを打ち込んでいるエンジニアを想像しませんか?
無理です。あんなの、今から勉強しても勝てません。 でも、IT企業に必要なのはエンジニアだけじゃなかったんです。
私が就いた「カスタマーサクセス(CS)」という仕事。 要するに「お客さんの『困った』を解決する係」です。
IT企業は、便利なシステムを作って売ります。でも、買ったお客さんは使い方が分かりません。 「これ、どうやって設定するの?」 「なんか画面が動かないんだけど!」 そうやって問い合わせてくるお客さんに対して、「ああ、それはですね」と教えてあげる仕事です。
あれ? と思いませんか。 これって、私たちが毎日店でやっていることと同じなんです。
- 注文が来ないとお怒りのお客様に、状況を説明する。
- 新人のアルバイトに、レジの打ち方を優しく教える。
- 理不尽な要求をしてくるクレーマーを、なだめて帰ってもらう。
やることは全く一緒です。 違うのは、「対面か、Zoom(テレビ電話)か」だけ。 店長として毎日やっているその「調整業務」こそが、実はカスタマーサクセスの本質なのです。
第2章:地獄の「店長時代」と、天国の「今」のスケジュール比較
言葉で言うより、見た方が早いと思います。 私が飲食店長だった頃と、今の生活がどれくらい変わったか。嘘偽りなく書きます。
【Before】 居酒屋店長時代の1日(34歳)
- 11:00 起床。身体が鉛のように重い。
- 13:00 出勤。ランチのピーク後半から入る。
- 15:00 発注業務とシフト作成(休憩という名の事務作業)。
- 17:00 夜営業開始。ここから記憶がないくらいの戦場。
- 21:00 バイトの欠員やトラブル対応で、自分がホールに出ずっぱり。
- 26:00 閉店。レジ締め、掃除、日報作成。
- 28:00 帰宅。コンビニ弁当を流し込んで気絶するように寝る。 (※これが週6日。休日は寝て終わる)
【After】 ITカスタマーサクセスの1日(35歳)
- 07:30 起床。朝日を浴びて起きる。
- 09:00 出社。コーヒーを飲みながらメールチェック。
- 10:00 クライアント(お客さん)とZoomで打ち合わせ。
- 12:00 ランチ。同僚と外へ。電話が鳴らないので、味がする。
- 13:00 お客さんからの問い合わせメールに返信。
- 15:00 社内会議。エンジニアに顧客の要望を伝える。
- 18:00 退社。「お疲れ様でした」と言って、本当に帰れる。
- 19:30 家で自炊して夕食。YouTubeを見ながらゆっくりお風呂。
- 24:00 就寝。7時間たっぷり寝る。 (※完全週休2日制。土日は趣味の時間)
同じ人間が送っている生活とは、思えませんでした。 最初の1ヶ月は、18時に会社を出る時に「本当に帰っていいんですか? 何か裏があるんじゃないですか?」と上司に聞いて笑われました。
第3章:なぜ「クレーム対応」が年収550万の武器になるのか
なぜ、パソコンもできない元店長が、IT企業で重宝されるのか。 それは、私たちが「泥臭いコミュニケーションのプロ」だからです。
相手は「話が通じる」ビジネスマン
店長時代を思い出してください。相手は酔っ払いや、理不尽な要求をするクレーマーでしたよね。 ルール無用の無法地帯です。
でも、IT企業のお客さんは「会社員(ビジネスマン)」です。 「システムが止まって困っている」と怒っていても、こちらが論理的に事情を説明し、解決策を提示すれば、「分かった、じゃあ頼むよ」と納得してくれます。
これは、店長時代の修羅場に比べれば、構造的に解決しやすい「イージーモード」です。 しかし、ずっとオフィスにいたIT業界の人たちは、その「ちょっとした怒り」や「電話対応」に慣れていません。
だから、私たちの出番なんです。 「謝り慣れている」「相手の懐に入るのがうまい」「空気が読める」 このスキルは、IT業界では希少価値が高い。
「〇〇さんが対応すると、なぜか怒っていたお客さんが笑顔になるね」 そう評価されて、年収550万です。 店長時代、あんなにすり減らして働いていたのが馬鹿らしくなるくらい、自分のスキルが「高く売れる場所」があったんです。
第4章:どうやって転職したか(私の泥臭い戦略)
「話は分かった。でも、どうやってその求人を見つけるんだ?」 そう思いますよね。
私も最初はリクナビやマイナビで「事務職」「未経験」と検索しました。 でも、出てくるのは給料の安い怪しい会社ばかり。 「IT カスタマーサクセス」なんて言葉、当時は知りもしませんでしたから、検索すらできません。
私が成功した唯一の理由は、「プロに翻訳してもらった」からです。
「店長」という言葉を捨てた
私は、転職エージェントに登録し、担当者に恥を忍んでこう言いました。 「店長しかやったことないです。でも、もう店舗に立つのは限界です」
担当者は、私の職務経歴書を見て、こう書き直してくれました。
- クレーム対応 → 「顧客折衝・課題解決スキル」
- アルバイト教育 → 「チームマネジメント・コーチング」
- 売上管理 → 「計数管理・KPI達成能力」
「〇〇さん、あなたのこの経験は、IT企業のカスタマーサクセスという職種で即戦力です」 そう言われた時、信じられませんでした。 でも、実際にその書類で応募すると、書類選考に通るんです。
「店長」として応募するんじゃない。 「マネジメントと課題解決のプロ」として応募するんです。 この「翻訳」は、自分ひとりでは絶対に無理でした。エージェントという「通訳」がいないと、私は一生、飲食業界の中でたらい回しにされていたと思います。
最後に:今、厨房に立っているあなたへ
今、これを休憩中や、帰りの電車で読んでいるかもしれませんね。 「お前には無理だ」「ここで通用しなきゃ、どこ行ってもダメだ」 そんな言葉に縛られないでください。
あなたは、無能じゃありません。 あんな過酷な環境で、店を回し、理不尽な客に耐え、スタッフを守ってきた。 その精神力とコミュニケーション能力は、外の世界では「特殊能力」です。
ただ、いる場所が悪いだけ。 砂漠で水を売れば1000円になるのに、わざわざ泥水の中でタダ働きしているようなものです。
どうか、怖がらずに一歩踏み出してください。 パソコンができなくてもいい。横文字がわからなくてもいい。 「話をちゃんと聞ける」「誠意を持って謝れる」 それだけで、月給をもらいながら、夜に家で眠れる生活が手に入ります。
私が使った「脱出ルート」を置いておきます。 この順番で動けば、自分の価値に気づき、武器を磨き、戦場を変えることができます。
私が店長を脱出するために使った3ステップ
1. まずは自信を取り戻す(自分の市場価値を知る) 「自分は550万の価値があるかも」と知るだけで、転職への恐怖が消えます。まずはここでスイッチを入れてください。 [ミイダス
公式サイト]
2. 自分のスキルを「翻訳」してもらう ここの担当者がいなければ、私は一生店長でした。「店長経験」を「IT業界で通じる職務経歴書」に書き換えてくれます。(doda
公式サイト)
3. とにかく大量の「IT・ホワイト求人」を見る 書類ができたら、ここにある大量の求人に投げ込みます。「未経験歓迎のIT」を探すならここが一番でした。 [リクルートエージェント
公式サイト]


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