転職エージェントとの初めての面談。当時、サービス業の店長だった私は、ただうなずくことしかできませんでした。
担当者の方が私の経歴書を見て、にこやかに言います。 「なるほど、素晴らしいご経験ですね。いくつか合いそうな求人をご紹介しますね」
出された求人票は、どれもピンとこないものばかり。 それでも「ありがとうございます」と頭を下げるのが精一杯。
結局、何一つ自分の希望を伝えられないまま面談は終わり、帰り道に「自分は社会で通用しないのかもしれない」と、本気で落ち込みました。
しかし、この失敗こそが、私の転職を成功させる最大のきっかけになったのです。
面談は「お医者さん」ではありません。黙っていても、相手がすべてを察して解決してくれるわけではない。こちらが「自分の状態」を正しく伝え、一緒に「治療法」を探していく場なのだと、痛感しました。
この記事では、かつての私のように自信を失いかけているあなたが、エージェントとの面談で自分のペースを取り戻し、対等なパートナーとして転職活動を進めるための具体的な方法を、私の失敗談を交えながら丁寧にお伝えします。
転職エージェント初回面談前の準備3つ
なぜ、あの面談で私はうなずくことしかできなかったのか。
帰り道に落ち込みながら考え、一つの結論にたどり着きました。 それは、私が面談を「受け身」で考えていた、ということです。何か聞かれたら答えよう、と。
でも、それではダメだったのです。 自分のことを一番分かっているのは、自分自身。だからこそ、こちらから「自分のこと」を正しく伝えにいく準備が必要だったのだと、今なら分かります。
この苦い経験から学んだ、「もう二度と面談で流されない」ために最低限必要だった3つの準備をお伝えします。これを意識するだけで、きっと次の面談は、もっと落ち着いて話せるはずです。
職務経歴書にある「売上改善」「マネジメント経験」を、ただの言葉で終わらせず、自分の言葉で2〜3分語れるようにしましょう。
「年収は高い方がいい」ではなく、「年収◯万円以上は必須」のように具体的な数字を設定。これだけで紹介の精度が上がります。
完璧を目指す必要はありません。「叩き台ですが、プロの視点でアドバイスをください」というスタンスが、逆に相手の協力を引き出します。
初回面談で聞くべき質問リスト10選
心の準備が少しできたら、次は「伝える」番です。
最初の面談で私が失敗したのは、相手の質問に「答える」ことしか頭になかったからです。でも、本当に大切なのは、こちらから質問することで「自分のことを知ってもらう」ことでした。
面談を、あなたのことを深く知ってもらうための「対話の場」に変える、10個の質問を紹介します。
担当者との信頼関係を築く質問【4選】
まずは、担当者があなたの転職を安心して任せられる「頼れるパートナー」かどうか、一緒に知っていくための質問です。お互いの理解を深めることで、より良いサポートを引き出すことができます。
この質問で、担当者がどれだけ経験を積んできたかを知ることができます。具体的な数字で答えてくれると、より安心できますね。
→あなたの経歴を元に、どんな可能性を考えてくれるかが分かります。
長期的な視点で、あなたのキャリアを一緒に考えてくれるかどうかが伝わってきます。
「違い」ではなく「強み」と聞くことで、ポジティブな側面を引き出す。
自分との相性を確認する質問【3選】
どんなに実力があっても、担当者との相性が良くなければ、本音で相談するのは難しいものです。あなたが安心して二人三脚で走っていけるパートナーかどうか、相互理解を深めるための質問です。
プロの視点から、自分では気づけない弱みや課題を教えてもらうための質問です。真摯な答えが返ってくるなら、信頼できるサインかもしれません。
こちらの都合ばかりでなく、担当者の方の働きやすいペースも尊重したい、という姿勢を示すための質問です。
これは手続きの確認という形で、相手のサポート体制や価値観を自然に知るための質問です。丁寧な説明があれば、安心して任せられる可能性が高いです。
より良い求人を紹介してもらうための質問【3選】
あなたの希望をより深く理解してもらい、二人で「理想の求人像」を共有するための質問です。
自分では価値がないと思っている経験の中に、プロの視点から見ると「武器」になるものがないか、アドバイスをいただくための質問です。
担当者の方が、私のどこを評価して企業に推薦してくれるのかを知ることで、安心して選考に進めます。
自分の希望が的外れでないか、プロの視点から率直な意見を聞かせてもらうための質問です。これにより、より現実的な転職活動ができます。
もし「あれ?」と感じたら。担当者さんとの関係で考えたいこと
私も一度、やたらと応募を急かす担当者に当たってしまい、危うく自分のペースを失うところでした。自分のキャリアを守るためにも、もし面談中に少しでも違和感を覚えたら、自分の気持ちを大切にしてください。
そのままだと…
自分のペースで考えられず、納得のいかないまま応募してしまうかもしれません。
こんな風に伝えてみては?
「ありがとうございます。大切なことなので、一度持ち帰ってゆっくり考えさせてください」と、丁寧にお願いしてみましょう。
そのままだと…
話を聞いてもらえていないと感じ、信頼関係が築けず、的外れな提案が続いてしまいます。
こんな風に伝えてみては?
「私の希望は〇〇なので、もしそういった求人があれば、ぜひご紹介いただけると嬉しいです」と、改めて柔らかくお願いしてみましょう。
そのままだと…
自信を失い、正常な判断ができなくなってしまうかもしれません。
こんな風に伝えてみては?
反論する必要はありません。静かに話を聞き、その日は「ありがとうございました」と丁寧にお礼を伝えて、次の面談はお断りするのが賢明です。
そのままだと…
こちらの都合を考えてもらえず、重要な局面でストレスを感じてしまう可能性があります。
こんな風に伝えてみては?
「お忙しいところ恐縮ですが、ご連絡は〇曜日の〇時以降にメールでお願いできますでしょうか」と、謙虚にお願いしてみましょう。
そのままだと…
浅い情報しか得られず、あなたのキャリアを安心して任せるのは難しいかもしれません。
こんな風に伝えてみては?
もし不安が拭えないなら、無理に関係を続ける必要はありません。別のエージェントを探すのも、大切な選択肢の一つです。
まとめ:良いパートナーと、納得のいく転職を
転職エージェントとの面談は、「一方的に評価される場」ではなく、「お互いを理解する場」です。あなたが安心して対話を進めるために、大切なのは以下の3つです。
- 面談の前に、自分のことを伝えるための準備をしておく
- 対話を深めるための10の質問を、お守りのように持っていく
- 少しでも違和感を覚えたら、自分の気持ちを大切にする
エージェントは、あなたのキャリアを応援してくれるパートナーです。「使ってやる」のではなく「力を貸してもらう」。その意識を持つだけで、きっと良い関係が築けるはずです。
登録はゴールではなく、あなたの逆転転職の“スタートライン”です。この記事で紹介したことが、少しでもあなたの安心材料になれば幸いです。最高の一歩を踏み出すあなたを、応援しています。
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