はじめに:「準備」の先にある「攻略」の話をしよう
前回の記事では、面接前の「準備」についてお話ししました。企業のことを調べ、自己紹介を練習し、逆質問を用意する。それだけでも、あなたの不安はかなり軽くなったはずです。
しかし、面接本番が近づくにつれて、新たな不安が頭をもたげてきませんでしたか?
「準備はした。でも、他の候補者も同じくらい準備をしていたら?」 「どうすれば、その他大勢から一歩抜け出して、差をつけられるんだろう?」
この記事は、そんなあなたのために書きました。「準備」を完璧にこなしたあなたが、面接本番でライバルに差をつけ、面接官に「お、この人は面白い」「ぜひ一緒に働きたい」と思わせるための、一歩進んだ「攻略法」です。
私がゾンビ店長から抜け出す過程で掴んだ、面接官の記憶に残るための3つの秘訣。それを、余すことなくお伝えします。
秘訣①:「逆質問」を「自己PRの最終兵器」に変える
面接の最後に必ず聞かれる「何か質問はありますか?」。思考停止していたゾンビ時代の私は、これを「特にありません」と答えて、何度もチャンスを逃してきました。
実は、この逆質問を工夫するだけで“その他大勢”から抜け出し、一発逆転できるチャンスなのです。
逆質問の具体例3選
「本日お伺いした〇〇という事業について、大変魅力的に感じました。今後、この事業をさらに拡大していく上で、現在どのような課題があるとお考えでしょうか?」
「一日も早く貴社で活躍したいと考えているのですが、入社前に勉強しておくべき知識やスキルがあれば、ぜひ教えていただけますでしょうか?」
「もしご縁があって入社させていただいた場合、私が配属されるチームは、どのような雰囲気や文化を大切にされていますか?」
自己PRを絡めた「最強の逆質問」の作り方
さらに一歩進んだテクニックが、逆質問の中にさりげなく自己PRを盛り込む方法です。あなたの強みと熱意を伝えましょう。
【作り方のテンプレート】
「〇〇(業務内容)について、私の強みである△△が活かせると感じています。チームの一員として貢献できるイメージが湧いているのですが、この認識で合っておりますでしょうか?」
秘訣②:「あなたの強みは?」に“物語”で答える
「あなたの強みは?」このありふれた質問こそ、あなたが「その他大勢」から抜け出す最大のチャンスです。
ゾンビ時代の私は、ただ「コミュニケーション能力があります」と答えるだけでした。これでは全く響きません。この「STARメソッド」を知って初めて、自分の経験が伝わるようになったのです。
「STARメソッド」で、あなたの経験を物語に変える
- S (Situation): どんな状況で
- T (Task): どんな課題・目標があり
- A (Action): あなたがどう行動し
- R (Result): 結果どうなったか
この順番で話すだけで、あなたの話は驚くほど立体的で、説得力のある物語に変わります。
良い例:「クレーム対応」を「交渉力」の物語に変えた話
「はい。私の強みは、お客様の不満の根本原因を突き止め、仕組みで解決する『課題解決力』です。」
「店長時代、料金改定が原因で常連様からお叱りを受けたことがありました。私の課題は、その場を収めるだけでなく、お客様との信頼関係を再構築することでした。」
「まずお客様のお話を徹底的に傾聴し、不満の根本原因が『値上げ』そのものではなく『事前の説明不足による寂しさ』であると突き止めました。そこで、経緯を誠心誠意ご説明し、お店側の配慮不足を深くお詫びしました。」
「結果、お客様にご納得いただき、信頼関係を取り戻すことができました。さらに、この一件を機に『常連様への重要事項の事前説明』を業務マニュアルに加える仕組みを構築したところ、クレーム件数を減らすすることにも繋がりました。この経験から、対話を通じて根本原因を発見し、仕組みで解決する力を学びました。」
悪い例:ただの業務報告になっている
「私の強みは交渉力です。店長時代、料金改定でお客様からクレームがありましたが、説明して納得してもらいました。」 (→これでは、あなたの行動や人柄が全く伝わりません。)
秘訣③:面接の最後に「ダメ押しの一言」という“奥の手”を用意する
面接官も人間です。人の記憶は「一番盛り上がったところ(ピーク)」と「終わり際(エンド)」が最も強く残るという「ピークエンドの法則」という心理効果があります。
面接の最後に「この人と働きたい」と思わせるための、シンプルな奥の手を紹介します。
私も、ある最終面接で最後に「今日お話を伺って、仕事の面白さや、やりがいを具体的にイメージすることができ、非常にワクワクしました。ありがとうございました。」と素直な気持ちを伝えたところ、面接官の方がふっと笑顔になったのを今でも覚えています。
- 感謝と熱意を伝える一言
「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。〇〇様(面-接官の名前)とお話しさせていただき、ますます貴社で働きたいという気持ちが強くなりました。」 - 貢献意欲を伝える一言
「本日はありがとうございました。もしご縁をいただけましたら、私の〇〇という強みを活かして、一日も早く貴社に貢献したいと思っております。」
まとめ:面接は、あなたという物語を語る場所
最後に、ライバルに差をつける3つの秘訣を振り返りましょう。
思考停止していたゾンビ時代の私でも、この3つを意識するだけで、面-接官と対等に話せるようになりました。
面接で大切なのは、「上手に話す」ことよりも「相手の印象に残す」ことです。あなたという人間が伝わる「物語」を語る。その意識を持つだけで、あなたの面接は「試験」から「最高の自己表現の場」に変わります。
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